【男性議員の育休】建設的な議論のために必要なこと

「男性議員が育休取得の意志を示した」とのニュースが連日話題になっています。
各種メディアや著名人が賛否それぞれ意見を出し、論点はある程度出尽くしたのではないでしょうか。

本件のように賛否両論あるテーマについては対立構造を煽る力学が働きます。
結果「賛成するやつは政治をナメてる」とか「反対する人は少子化でいいんですね」みたいな、一生分かり合えない構図に陥ります。
既に賛成派、反対派どちらもナショナリズム的な論陣を張って不毛な喧嘩をしており、見ていて悲しいです。
そんな中「う〜ん賛成のような気もするし反対意見も分かるなぁ」という方も多くいるように感じます。

私の立場は「男性議員の育休取得に賛成」ですが、納得のいく反対意見も多々でてきています。
そして私は「反対」の立場を取る方を尊重したいと考えています。
尊重しつつも、出来る限り賛成してくれる人を増やしていきたいとも思います。

現状が健全な議論による問題解決に向かっているように思えないので「対立」のアプローチを変える必要があります。
そこで私(賛成者)は以下のようなアプローチを取ります。

反対者「私は男性議員の育休取得に反対です」
賛成者「なるほど、反対なのですね。
ではどういった点がクリアされれば賛成できますか?
反対者「反対理由である◯◯がクリアされれば賛成です」
賛成者「なるほど、よく分かりました!
私もその点は課題だと考えていますが、解決されていない現状でもなお賛成の立場を取ります。
しかしあなたの反対意見はもっともだと思うので、その問題がクリアされるように一緒に訴えかけていきましょう!」
反対者「そうしましょう!」
決めかねている人「なるほど、そういう論点があって、こういう意見があるのか、ふむふむ」
賛成者・反対者「あなたも一緒に考えましょう!」
決めかねている人「えっ、だいぶ論点は整理されたけど、まだ賛否決めかねてるんですけど・・・」
賛成者・反対者「いやいや、そういう人とも一緒に議論して決めていきたいじゃないですか」
決めかねている人「それはありがたい!実はこういう論点もあるんじゃないかと考えてまして・・・」
賛成者・反対者「ふむふむ」

論点を整理した上で、このような「協調」のアプローチによって、できる限り多くの方が「賛成」と言えるようにしていきたいと思います。

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■論点の整理

それでは、男性議員の育休取得への反対意見を整理していきたいと思います。
(「この論点も重要な分岐になりうる」ということでモレがあったら是非ご指摘ください)

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最初の分岐を「そもそも男性の育休に対しては肯定的である・否定的である」とします。

1.そもそも男性の育休に否定的である

WHY?
・男性が育休を取得しても家庭内で役に立たないから
→役に立つとしたら賛成?

・妻は夫の育休を望んでいない
→望んでいるなら賛成?

・生計が苦しくなるから
→生計上の影響が少ないなら賛成?

・仕事を休んで楽をするべきではない
→育休が楽ではなければ賛成?

・・・
他にも様々な論点がありますが一旦この辺までで。

このように深掘りしていって、どこまでいっても「賛成」にならない場合は「価値観の問題」になります。
例えば「男は仕事、女は家庭に入るのが良い」など。
私としてはできればその価値観は変えてほしいなぁと思いますが、その人がその価値観であることは否定されるべきものではないと思うので、ここでENDです。
ただし「その価値観を人に押し付けるのはやめてくださいね」と付言しておきます。

もしどこかの問いで「それならば男性の育休自体には賛成。でも今回のケースには反対」となった場合は以下の2のコースに移動します。

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2.男性の育休に肯定的であるが、今回の件には反対である

WHY?
・2人同時に取ることはない
→順番に取るなら・または2人同時に取ることに合理性があれば賛成?

・期間が長い
→短期なら賛成?

・規定が無いのに取るべきではない
→規定があれば賛成?

・議員報酬(税金)をもらいながら取るべきではない
→全部ないし一部返納すれば賛成?

・給与が高いのだから取る必要がない
→給与水準に依存しない育休取得のメリットがあれば賛成?

・様々な特権を持っているのだから取るべきではない
→期間中特権を剥奪されるなら賛成?

・任期のある仕事なので休むべきではない
→育休中に代理が立てられれば賛成?

・育休という形でなくても育児は可能
→育休という形に特有のメリットがあれば賛成?

・選挙時に言ってない
→選挙時に言ってたら賛成?

・地元選挙区民が納得しない
→地元選挙区民が納得したら賛成?

・民間で一般的になっていないものを議員が取るべきではない
→民間で一般的であれば賛成?

・民間で一般的にしていく努力をせずに議員が先にとるべきではない
→民間で一般的にしていく努力を政府が、または宮崎議員がしている(またはしていく)なら賛成?

・民意の付託である一票を投じることができない
→本会議採決に参加するなら・または代理に投票する人がいるなら賛成?
・・・
この後「委員会に出たら」「部会に参加したら」など「政治活動をどこまでやれば賛成か」という問いが続きます。

1と同様、このように深掘りしても反対ならば、それは「価値観の問題」になります。
「国会議員は滅私奉公すべし。私人としての自己は全て捨てるべき」などです。
これについても私としては育休取ると滅私奉公じゃなくなっちゃうのか・・・とは思うものの、その価値観も否定しないことにします。
そして「その価値観を押し付けないでくださいね」と付言します。

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■「協調」のアプローチ

さて、ここまで論点を整理してきました。
反対者は「◯◯と△△がクリアされるのであれば賛成」または「価値観の問題で反対」のどちらかになっているはずです。

それを踏まえて3つの具体的なケースで「協調」のアプローチを試してみましょう。

Case.1:Aさん

そもそも否定派。
男性は家庭において役に立たないし妻も望んでないだろうと考えている。

「宮崎議員の妻である金子議員は夫の育休を歓迎しているそうですよ」
A「あ、そうなんだ。でも男が家にいても役に立つかね」
「確かに宮崎議員がどの程度の家事スキルを持っているのかは未知数ですね。
ただ初産ですから育児に関しては夫婦ともにゼロスキルからのスタートなので、授乳以外のことは夫も妻同様にできるようになりそうですね」
A「それはそうかもしれないね。でもねぇ、やっぱり男がエプロンつけて家事したりミルクあげたりって姿は私としては違和感が強いんですよ」
「なるほど、そういう風に感じてらっしゃるので反対なのですね、分かりました」

結果:「価値観の問題」であることが分かった/反対のまま変わらず

Case.2:Bさん

男性の育休自体には賛成派。
選挙時点で公言していなかったこと、地元選挙区民の理解が得られないであろうことがボトルネックで反対。

「確かに選挙時点で公言はしていなかったでしょうね。反発を覚える地元の人もいそうです」
B「そりゃそうですよ。
投票した人の中には「そんなことなら投票しなかった」という人もいるかもしれませんし。
公言していたらそもそも議員であったかどうかも分からないんですから」
「確かにその可能性はありますね。
ではもし宮崎議員がお子さんが産まれるまでの間に選挙区民に対して、事前には公言できていなかったことを詫び、それでも育休という形を取りたい旨を必死で訴えて、ある程度理解されるに至ったらBさんは賛成しますか」
B「そこまで覚悟持ってやってくれるなら賛成できますね。
そもそも男性の育休取得自体は国家的に推進されるべきことですから」
「なるほど、ありがとうございます」

結果:どうしたら賛成に転じるかが明確化された/この時点では反対のまま変わらず

Case.3:Cさん

男性の育休自体には賛成派。
妻は分かるけど夫が同時に取る必要はなく「それはラクしすぎ、働けよ」と考え反対。

「Cさんは「2人同時に取るのはおかしい」ということで反対なのですね」
C「そうですよ。
奥さんは子ども産んだばっかりだし、きっと色々大変なんだと思うから産後に休むのは普通だと思うよ。
でも同じ期間で夫も休むって・・・必要ないでしょ!
我が子は可愛いだろうし、デレデレしながら家にいたいのは分かるけどさ、それはサボりだよね」
「なるほど。
サボって家にいるくらいなら働け、ということですね。
Cさん、「産じょく期」とか「産後クライシス」って言葉を聞いたことがありますか」
C「サンジョクキ?産後クライシス?いいえ、聞いたことないです」
「それはですね・・・(説明)
というように、産後6〜8週間くらいの間、女性は精神面体力面で特にしんどいらしいんです。
そしてそのような時期に、夫が支えになったかどうかがその後の夫婦関係を大きく左右しうる、ということなんです」
C「うわーそうなんだ知らなかった!
子どもって産むまでが大変で、あとは割りとすくすく勝手に育つものだと思ってました。
そういう時期に、もっとも身近な存在として夫がそばにいられることは、意味のあることなんですね」

結果:知識の不足を補填/賛成へ転換

いかがでしょうか。
既に起こっている対立の構造よりははるかに前向きで建設的になりそうではないですか。

これが私が様々な意見を見て、自分の頭でも考えて、問題解決のために必要だと思う「協調」のアプローチです。

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「男性の育休って男らしくない気がする」「「男は仕事、女は家庭」だと思う」「自分がやるとしたら面倒くさそう」「見た目がチャラくて嫌だ」「嫁さん美人で妬ましい」「とにかく自民党のやつがやることは全部気に食わない」
全て価値観です。
私としてはそれぞれ言いたいことのたくさんある価値観ではありますが、否定はしません。
何度も言いますが「ただしその価値観を人に押し付けるのはやめましょう」なのです。

私は一介の会社員男性@育休中ですが、男性の育休取得を推進したい者として、多くの方の健全な議論によってそれが実現されることを強く望みます。
長文となりましたが、一石を投じることができたなら嬉しい次第です。

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最後に。

前記事にも書きましたが、まずは宮崎議員、金子議員、ご懐妊おめでとうございます!
あと少しでお子さんに会えるの、楽しみで仕方ないですよね。
母子ともに無事なお産になりますことを心よりお祈り申し上げます。

皆さん、まずは「おめでとう」ですよね。

4件のコメント

  1. 建設的な議論というのは「それぞれの意見の内容をお互いが理解し合うことで見識を深めていく」ということです。
    トピ主さんのやっていることは建設的な議論ではなく「反対派を懐柔して丸め込む」という話術です。
    こうこうこういう理由で反対、としている人に「じゃあこれがこうなら賛成なんですね」と尋ねることは「最終的に賛成することが正しい」という前提に立っています。裏に「私は何をいわれようが意見は変えないのであなたの方が意見を気持ちよく変えることが出来る方法を一緒にかんがえましょう」という意図が透けます。それは対等な議論ではありません。先生が生徒に何かを教える時の手法に近いです。

    建設的な議論をするにはお互いに胸襟を開いて議論をすることが大切です。どうやったら皆が自分と同じ意見になるか、ではなく、どこが論点で、その解決方法にはどれだけの種類があるか、その一つ一つを検証するような議論が良いかと思います。例えば今回のような男性議員の育児休暇取得の解決方法は上に書かれているような「一時的な議席の変換」や「男女が交代で休みを取る」と言った具体的な手法から「休暇を取ることをサボると捉える価値観を変えるには」という論点もあれば「国会議員の休暇は規定された休日のみでも子育てが行えるだけのベビーシッター等の金銭的援助」というような解決方法もあるでしょう。
    各論を客観的に見て公平に議論することが「建設的な議論」だと思います。

    1. さら。さん、コメントありがとうございます。
      丁寧に冷静に書いていただけて嬉しいです。

      ご指摘を受け、自身で思っているよりもバイアスがかかっているものだと感じました。
      私が賛成派で、できる限り多くの人に(条件付きでも)賛成してほしいという思いがあるからでしょう。
      私自身が「不毛な対立構造」側に片足を入れているのかもしれない、と自己に批判的になるべきですね。

      一点だけご指摘に疑問があります。
      >こうこうこういう理由で反対、としている人に「じゃあこれがこうなら賛成なんですね」と尋ねることは「最終的に賛成することが正しい」という前提に立っています。

      そうでしょうか。
      逆にすると「反対しているあなたは正しくない」という前提、ということになります。
      「じゃあこれがこうなら賛成なんですね」という問いは、反対する主張の明確化を目的としたもので、正しくない状態を正すことが目的ではありません。
      対等な議論における問い方として問題のあるものとは思えませんでした。
      「私の文章からそういったニュアンスが出ている」ということはあると思いますので、そこは納得して反省し次に活かします。

      後半に書いていただいた内容は、まったくその通りだと思います。
      本稿ではそれぞれの論点に対して「◯◯なら賛成」という書き方をするためにだいぶ単純化していますが、それによって漏れている視点もあります。
      本稿を書くにあたって特に反対意見に目を通し、論点を多く出すことができました。
      今後はそれらの論点に対する解決策やアプローチ手法について検討し、建設的な議論の種になるような発信をしてまいります。

  2. 佐々木俊尚さんのツイッターからきました。世の中ネットが浸透し便利になった半面、対立が激化していく構図、現象が至るところでみられ、高橋さんが育休問題に関して対立を煽らない言葉で取り組まれているエントリーにたいへん感動、共感しました。応援しています。またこれからの自分が行動していくうえで参考にさせてもらいたいと思いました。

    その上でなんですが、じぶんも上記のさら。さんと似たような印象も受けました。反対の立場を尊重したいと言いつつも最後は賛成派に誘導している印象を感じました。高橋さんの立場からはそうなるとわかるんですが、意見を表明する以上はバイアスがかかることから逃れられないと思うのですが、やはり賛成の立場を明確にしたうえで論を進めていったほうがよかったのかなと思いました。

    それから、じぶんが思うに、個別ケースのくだりで、育休に賛成とも反対とも判断が難しいケースを入れて欲しかったなぁと思いました。たとえば、今年は安保問題が国会の重要な問題でしたが、安保のような国家の方向を決める審議や採決の時期に果たして育休は認められるのか?とかそういうケースも入れて欲しかったなぁと思いました。

    1. ひでさん

      コメント感謝いたします。
      返信、年をまたいでしまってすみません(汗)

      ご指摘のように「賛成の立場の私として反対するあなたと対話するための手法」というような書き方だったら、より分かりやすかったかもしれませんね。
      完全なる中立者として、ではなく、意見の違う他者との対話者のスタンスとでも言いましょうか。
      せっかくご期待いただきましたので、今後ご期待に添えるよう精進いたします!

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