「日本一育休の取りやすい会社」メルカリさんの話

皆さんは「育休の取りやすさ」ってどんな要素で決まると思いますか?

私は「文化」と「制度」の二つだと思います。
育休を取りやすい文化があっても制度がしっかりしていなければ取りにくいですし、逆もまた然りです。
(※ここでは「文化」を「何を良いと思うかの価値基準、また行動指針」として定義します)

歴史ある大手や女性の多い企業だと「制度」はしっかりしていることが多そうです。
しかし「文化」がセットになっているとは限りません。
人数の少ないスタートアップだと「文化」の浸透は命綱なので、もし無いならば早晩潰れます(汗)
しかし「制度」が追いついていないことは多そうです。

比較的新興の企業の中にも、良い制度を創って運用しているところもありますね。
サイボウズサイバーエージェントワークスアプリケーションズ(手前味噌) など)

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そんな中、他を圧倒する人事制度を発表する企業が現れました。
その企業はメルカリ、制度名は「merci box(メルシーボックス)」。

メルカリはフリマアプリの開発、運営をしている企業です。
創業4年目に入ったばかりながら、従業員数230名、アプリダウンロード数日米3100万と大きく成長しています。

そんなメルカリの打ち出した新制度は「育休中の社員の給与を100%保障する」という画期的なものです。

メルカリ、新人事制度「merci box(メルシーボックス)」導入のお知らせ -産休・育休あわせて約8ヶ月分の給与を100%保障-

一般的に男性が育休を取ろうとする場合「給料はどうなるの?」「生活は大丈夫?」というお金の話になることが多いようです。
ちょっと脱線しますが、育休中は男女問わず給与の67%相当が雇用保険から支給されることは意外と知られていません(180日を超えたら50%)。
さらに社会保険料が免除されることも踏まえると「ざっと8割くらい支給される」と言えるかと思います。(2016年2月現在)
そういったことが周知されていないこともありますが、どちらにせよ給与が減ることは確かです。
「給与を100%保障します」という制度があることは、育休を取りたい社員を強く後押ししてくれることは間違いありません。

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ただ、ここまではあくまでも「制度」の話。
「文化」の話を聞きたいと思い、メルカリの社員さんと話せるイベントに行ってきました。

Drink Meetup with Mercari #24

メルカリは、お酒を飲みながら社員と外部の人が話せる機会を定期的に設けているようで、今回のテーマがまさにリリースしたての「merci box」でした。
抽選に通った20名程と社員の方5,6名程で、非常に闊達に話ができてとても良いイベントでした。

結論から言うと「文化と両輪になった良い制度だ」というのが、話を聞いた上での私の感想です。
そう感じた理由をいくつか以下に述べます。

1.経営層が「やる」と強く押し出していること
まず制度のリリースにあたって代表取締役の山田進太郎氏がコメントを出しています。
本制度設計のトップであろう小泉文明取締役もインタビューで制度への思いを語っています。

メルカリ 産休・育休中の給与を会社が100%保障 | 100社ルポ「仕事&育児の両立」企業の挑戦 | 日経DUAL

小泉氏は今回のイベントにも参加していましたし、大いに語ってくれました。
経営層が社内外に向けて「やる」という強いメッセージを発していることは、制度を利用したい社員にとって大きな安心感につながることでしょう。

2.「文化」を表す特徴的な言葉があり、浸透させる工夫がされていること
多くの企業で「社員の行動指針」を掲げていますが、だいたい似たり寄ったりで、形骸化していることも多い印象です。
しっかり浸透するためには「それを表す言葉」と「浸透させる工夫」が必要です。
メルカリでは「Go Bold – 大胆にやろう」というように社員の価値基準を言語化しています。
そしてそれが会議室の名称になっていたり、飲み会で使われたりと社員の口に上りやすい工夫がされています。

3.外部に対して開けていること
今回の制度、実は育児介護休業法的にグレーと思われうる部分があります。(※1:細かい話になるので興味ある方は文末の脚注をご参照ください)
そういった「突っ込みどころ」がある制度をリリースした直後に、各企業のHR担当者を呼んでイベントを開催することは勇気がいることだと思います。
しかしそれを物ともせず、むしろ「そこがチャレンジしたポイント」「これがおかしいなら法律側を変えるべく動く」くらいの覚悟を感じました。

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以上のように、おそらく「育休の取りやすい制度」として最高レベルだと思いますし、それが「文化」と両輪になってるんじゃ「日本一育休の取りやすい会社」と言わざるを得ません。

弊社ワークスアプリケーションズも「制度」と「文化」の両輪では国内屈指の制度を持っていますが、CEO牧野もこんなコメントをする程です。

スクリーンショット 2016-02-24 21.05.51

NewsPicksより抜粋

小泉取締役は「事業ありきなので福利厚生がいいから入社希望するなんて人はいない」とおっしゃっていましたが、フッキング要素の一つであることは間違いありません。
それに制度には「会社にとって社員はどのような存在か」が反映されているものです。
山田取締役社長の「この制度を通じてスタートアップでも安心して長期的に働いてもらえれば」という言葉がそれをよく表していますね。
採用にも力を入れているようなので興味がある方は見てみるといいと思います。

採用情報 | 株式会社メルカリ

え?ワークスの採用担当なのに他社の採用を紹介していいのか?
いいんです、余裕です。
ワークス採用担当の高橋は採用の現場におりますので、弊社にご興味がありましたら何らかの形でご連絡いただければと(^^)

(※1)(法律に興味のある人向け)「給与100%保障」と育児介護休業法について

メルカリの制度は「給与100%保障」ということですが、育児介護休業法の規定上、育休中に会社から支給された賃金が休業前月額の80%を越えると「給付金は不支給」になります。

また給付金と会社からの賃金が「合わせて」80%を越えた場合は越えた分が減額されるので、最大でも支給額は80%になります。

上記を踏まえるとメルカリの制度は法律と対立することになります。

しかしそこをクリアすべく、メルカリでは育休取得中には雇用保険からの育児休業給付金以外の補填はせず、復帰時に差額分を補填するやり方を採用しているようです。