名著「本当の頑張らない育児」を全力でオススメしたい

育児系メディアの中でも私が信頼している「Conobie(コノビー)」。

そこで連載していた「本当の頑張らない育児」という漫画作品が好評により書籍化されました。

早速改めて一気読みしたのですが、あまりにも人にオススメしたい良作なので勢いでレビュー書きます。

あらすじ

主人公は娘が産まれて育休中のママこと「わたし」。

子どもが産まれても以前と変わらない生活を続ける夫にイライラしたり、友人や妹の意見を聞きながら手抜き家事をしてみるもモヤモヤしたり。

ある日「日曜後輩と飯いくわー」という夫にモヤモヤが溢れ「私も日曜用事あるしあなたが2人で出かけて」「あなたもこの子の父親でしょ」と言い放ちます。

何故妻が怒っているのか分からない夫は職場の後輩男性パパに相談してみたりするものの「嫁が何考えてるか全く分からん」状態。

とにもかくにも娘と初めて2人でお出かけしてみるのですが・・・。

見どころ

「子どもが生活の中に入ってくる」というのことはすごくインパクトが大きいですし、想定外の連続です。

その中でママもパパも葛藤し、時にぶつかりながら、互いに理解を深めてチームになっていく。

その過程が生々しく、人間らしく描かれています。

著者のやまもとりえさんの柔らかくて優しい絵柄で、描かれているメッセージがジーンと深く染み入るように入ってきます。

以下に見どころをいくつか紹介します。

やること家事と育児だけでしょ? → クソねむい

妊婦の頃は子どものいる生活を楽観視していた主人公の「わたし」。

いざ始まってみるとその大変さに言葉も乱れてきます。

分かる。。。やってみて、初めて分かる、その辛さ。

悪意なく変化しない夫

「こんなになんにもしてくれない人とは思わなかった」という言葉に象徴されるように、夫は出産前と変わらない生活を続けます。

飲み会に行ったり旅行に行ったり、自由きままです。

「ごはんまだー」「熱っぽいから薬買ってきて」などと生活のことは妻任せのままです。

一言で言うと「子育てに対するパパの当事者意識が欠如してる問題」なのですが、これは本当に根が深いと思います。

「夫」は子育てをするつもりはなくて、そのことに悪意もなければ疑問もないんですよね。

妻が担うものと決めてかかって疑わない、このスタンスに自然と落ち着いていく社会構造や背景こそメスを入れるべき部分だと思います。

手抜き・ズボラ家事育児が逆にストレスになる?

妹から「手を抜くこと」を進められて、お惣菜やレトルト離乳食を導入してみる「わたし」ですが、うまくいかずむしろストレスになってしまいます。

私が目からウロコだったのは、手を抜くことに対する罪悪感以外に「わたし」が「むしろ料理は唯一の楽しみかもしれない」ということに気付くシーンです。

私自身は家事において「やれないこと」はほとんどないのですが(品質はさておき)「やりたいこと」はあまりないので手抜き推進派です。

それゆえ「わたし」のように家事自体がストレス解消になるようなケースもあるというのは新しい気付きでした。

パパの葛藤と変化

連載中盤くらいまで、ずっと「夫」にイライラしっぱなしでした。

「そのくらい自分でやれや!」「何でそこ気付かんのじゃ!」「ポンコツか!」みたいに。

途中で気付いたんですけど、それって自分にも「夫」と同じようなことがあったからなんですよね。

私自身のポンコツだったことや、今でもたくさんある至らない部分がモロに顕在化していて「ムキーッ!」ってなってるんだなぁ、と感じました。

うちはうまくいってる → 嫁が何考えてるか全く分からん

子育ては「大切でかけがえのない命を守る」がミッションなので、当事者意識を持てば色々と変わらざるを得ません。

当事者意識が持てていないので子どもが産まれる前と特に変化のない生活を続け、妻も当然それを受け入れていると感じている「夫」。

勘違いも甚だしい中「嫁が何考えてるか全く分からん」からの「君が何を思ってるのか知りたいよ」のコンボは「お前は何を言ってるんだ!」と声が出そうになりました。

娘と2人でお出かけくらい余裕でしょ → あわわわ

妻から「あなたが2人で出かけてきて」と言われた「夫」は、甘い見立てで出かけてトラブルに見舞われワタワタしてしまいます。

そんな中、喫茶店で居合わせた年配の女性に「あなたはステキなお父さんね」と褒められモヤモヤする「夫」。

ここから「夫」が良い方向に変化し始めます。

その変化がこの作品の大きな見どころの一つなのですが、この回を読んだ頃の私は「夫」のポンコツ振りにイライラしていたので「やーいやーい」と思ってました。

大人げない(汗)

夫婦の葛藤、そしてチームへ

「わたし」も「夫」も葛藤を経て、後半からポジティブな方向に変化し始めるのですが、すぐにはうまくいきません。

夫が劇的に育児するようになったのはいいものの、無理してしんどくなってしまうシーンはすごく身につまされました。

色々理解できてきても「じゃあどうしたらいいのか」という具体案が思いつかなかったり。

そこを支えて良い方向性を与えてくれるのが、2人を取り巻く登場人物「夫の後輩」「わたしの妹」です。

特に「夫の後輩」がすごくいい役割を果たしてくれていて、とても魅力的です。

押し付けがましくなく、しっかり伝わる絶妙なバランス

育児界隈の発信者は変革の意志が強いからこそ、割と過激なメッセージを発することも多いです。

そして育児系のメディアも視聴率やPV欲しさに極端で目を引く事例や記事を書く傾向があります。

どちらも間違っているとは思わないのですが、注目や支持を得やすい一方で押し付けがましさがあったり、敵を作ったりするマイナス面もあります。

私自身「男性が子育てに参画しやすい社会を創りたい」という思いから発信していますが、言葉選びやスタンスの取り方などすごく悩みます。

本作は押し付けがましくなく、大衆受けを狙わず、優しく柔らかく、でも深く染みるという難しいバランスを可能にしていて、本当に革命的だと思います。

もしアニメ化されたらエンディングテーマはユーミンの「やさしさに包まれたなら」かなぁ。

読者と一緒に作った作品

本作の編集者でConobie副編集長の三田村さやかさんの記事でも紹介されているのですが、この作品の魅力の一つが「読者と一緒に作った」という点です。

ちょっと自慢なのですが、私の属しているパパコミュニティメンバーの意見が、表紙と帯に反映されています。

三田村さんから「意見をもらいたい」と相談いただき、色味、文字フォント、帯のデザインなど、様々な側面についてパパたちが寄ってたかって意見しました。

普通初稿が出てからそんなにゴリゴリ変更できないんだと思うのですが、すごく丁寧にヒアリングしてくださり、取り入れてくださいました。

作品作りに参加できてすごく嬉しいです。

個人的に好きなのが「表紙にパット見パパがいないんだけど、帯を外すとしっかりいる」というデザインのニクさです。

パパいない?

いた!

育児系のメディアや本は圧倒的に女性が目にしたり手にすることが多いのですが、多くのパパ、プレパパ、男性にも読んでほしい作品です。

「子どもができたら読むといい本」筆頭だと思うので、子どもができた友人へのプレゼントに最適だと思います。

あとは全国の男子校に課題図書として置きたい。

何なら本を題材に講義しに行きたい。

クラウドファンディングとリアルイベント

発売決定後、さらに読者とのつながりを産むべくリアルイベント開催に向けたクラウドファンディングが実施されました。

私も支援したのですが、無事目標金額を超える120万円以上が集まり、イベントがいくつか開催されることになりました。

私も支援者特典で先日参加してきたのですが、パパも参加していてすごく有意義な時間でした。

そこに来ていたパパの「得意なこと、できることは全部やってるんですけど、妻から『全然やってない』って言われちゃうんですよ・・・」という話が印象に残りました。

おそらくなのですが、ママは「できるできない」「得手不得手」とか関係なく「とにかくやるしかないからやる」という姿勢で育児に臨んでいると思うんですよ。

そんな中パパの「やれることはやる」というスタンスに不公平感を感じてるんじゃないかと思いました。

僭越ながら、まずはそこを理解した上でご夫婦で話し合われると、少しずつ夫婦がチームになっていくのではないでしょうか。

それを伝え忘れちゃったのでここに書くのであのパパに届きますように。

最後に

上手にオススメできたか分かりませんが、本当に良作なので是非手に取ってみてください。

特にプレパパ、パパ1年生や、男性管理職の皆さんは、世界観が変わるキッカケになるかもしれませんよ。