子連れ出勤の課題と政府が取り組むべき少子化対策の優先順位について

宮腰少子化担当大臣が子連れ出勤可な会社を視察して「この取り組みをモデルとして全国に広めていければと思う」と発言したことが報じられました。

Twitterでは相当数の否定的意見が出ていましたが、私なりに論点を整理してみます。

子連れ「出勤」の課題

都市部特有の問題ですが、満員電車に子連れで乗るのはめちゃハードです。

フレックスなど勤務時間の自由化で回避できますが、子どもの生活リズムを考慮すると勤務時間のお尻をそんなに遅くはできないんですよね。

となると現実的なのは「出社時間を前にずらす」か「時短勤務にする」のどちらかになります。

これで出退勤時の電車混雑は回避できます。

ただ子どもはじっとしてないですし、騒いだりトイレ行きたくなったりすることを考えると、混雑してなくても子連れで電車通勤すること自体がなかなかにハードです。

また通勤手段が電車ではなく車だった場合のことを考えてみましょう。

私は経験ないのですが、大人が自分一人であとは子どもという布陣で集中して運転できる気がしません。

子どもが複数いたらさらに厳しいことが想像できます。

子連れ出勤は出退勤が手段に寄らず厳しいので、職住近接でないとなかなか難しいと思います。

出退勤でヘロヘロになっちゃったら仕事のパフォーマンス落ちますよね。

子連れ「勤務」の課題

一番の課題は「子どもの命と安全を守れるか」です。

保育園において、なぜ専門性の高い保育士が配置されているのか、一人辺りで担当できる子どもの数が決められているのか、乳幼児は15分おきに呼吸のチェックをしているのか、などを考えてみれば分かります。

転ばないようにケーブルやコードをまとめたり、家具の角の尖った部分をカバーしたり、怪我をしないための工夫も必要です。

誤飲したらまずいサイズのものを使わない、子どもの手の届かない場所に置く配慮も必要です。

子どもが騒いだり泣き叫んだりしてる時っていうのは、大変ですが「生きてる」ってことでもあります。

「静かにしてくれて助かるな」と思ってたらペットボトルの蓋を拾って口に持っていってるみたいなことがあるんです。

職場に子どもがいる、というのは「職場の全員で子どもの安全と命を守る」ということです。

乱暴な言い方ですが、そのこと以外は全部枝葉のことです。

パソコンの電源を抜かれることを気にするなら、コンセントに触れる状態を問題視すべきです。

ペットボトルのお茶をこぼされることを気にするなら「それが熱いコーヒーだったらどうなるか」を考えるべきです。

基本的に、子どもが共存していることに関する覚悟、専門性、経験、知識、環境の全てが職場には欠けています。

子育て経験の豊富なパパママが多かったとしても、目が行き届いていなければ意味がありません。

私は前職で子連れ出勤したことがありますが、それは社内託児所があったからです。

そこら辺を理解した上で、なお「政府として推進」するのであれば、本気を見せてほしいですね。

優先すべき政策として「子連れ出勤の推進」が適切か

少子化対策のためにあらゆる手段が模索されるべきで、その中の打ち手の一つとして「子連れ出勤」があること自体はいいと思います。

ただ、優先順位としては「保育園の全入化」「保育士待遇の大幅な改善」「ベビーシッターの活用推進」「働き方やキャリア形成の再デザイン」などが上位に来るべきだと思います。

少子化の原因は「非婚化・晩婚化」と「子育てに優しくない社会構造とムード」だと思います。

解決のためには安心して子育てできる環境を整える必要があります。

現在の報道からはどの程度の優先順位で推進するつもりなのか分かりませんが、そこに予算張るなら他のところに回してほしいと強く願います。

育休男子仲間でもある「コンペイ父サン」さんが作成されたフローチャートが分かりやすかったので許可を得て引用いたします。

「乳幼児は母親と一緒にいることが何よりも大事ではないかと思う」

宮腰少子化担当大臣の発言ですが、正直「またか」という感じですね…。

以前萩生田議員も「赤ちゃんはママがいいに決まってる」と発言され、批判を受けても強硬に意見を変えない、という事案があったのを思い起こされます。

そのときに書いた記事はこちら。

衆議院議員の萩生田光一氏が講演で語ったとされる子育てに関する意見が波紋を呼んでいます。 擁護の声も一定数ある通り、確かにいいことをおっ...

何度でも言いますが、本質的に重要なのは「子どもにとって安心できて安全な療育環境が整っている」ことであって、必ずしも「母親がそばにいること」ではありません。

こういう発言は子育てを女性のものとしてブラックボックス化する、不見識かつ大変悪質なものなので、強く抗議します。

パパを始めとした子育てに一生懸命な男性にも失礼ですよね。

何よりも問題なのは、学べば分かることを学んでいない方が国の中枢にいて、しかも「少子化担当大臣」を担っているということです。

つまりは我々有権者の責任です。

私個人は支持政党を持ちませんが、本気で日本の子育て環境を良くしたいと考えて行動する方に投票するよう心がけています。

皆さん投票に行きましょう。

歓迎すべき「子連れ出勤」のあり方とは

【1月4日 AFP】3日開会した米連邦議会の新会期、第116議会は、民主・共和両党とも史上最も多様性に富んだ顔ぶれの議員たちが就任宣誓を行う中、議場内を大勢の子どもたちが駆け回るにぎやかな幕開けとなった。

こういう日がスポットでたまにあるのは大歓迎ですね。

「家族の日」とか「キッズデー」とか「クリスマスパーティー」とか。

前職で「キッズデー」があったのですが、子どもたちが自分で作った名刺を持って社内を挨拶回りしてて超絶癒されました。

お世話になってる先輩のお子さんに「パパのいいところを教えてください」とインタビューされたので「トラブルの際も未来思考で課題解決しようと思考を切り替える早さかな」と回答してキョトンとされました(笑)

子連れ出勤を許容している事例などの紹介

今回ブログを書くにあたって参考にした記事を紹介します。

宮腰大臣が視察したモーハウスさんの記事を2つ。

もともと存じ上げていましたが素晴らしい会社ですね。

|   「授乳服」は環境、「子連れ出勤」はメディア。 そう語るのは、授乳服の製造販売を行う有限会社モーハウス社長の光畑由佳氏。「キャリアか、出産か」「保育園に預けるか、退職か」そんな二者択一の考え方とは一線を画す1つの解決策として、「授乳服を着て子連れ出勤」という働き方を自社で実践し、成果を上げている。この「子連れ出勤...
【ワークスタイル】 モーハウスでは、スタッフと子どもが一緒に出社する子連れ出勤を実施。 母乳育児中でも無理なく働くことができる環境づくりを行なっています。 ワークとライフを無理に分けず、一緒にして自然体で働く「ワークライフミックス」がモーハウススタイルです。 《子連れ出勤の様子》 本社と直営店で子連れ出勤を実施。

継ぎは「子連れ出勤」でよく名前を聞くソウエクスペリエンスさんの記事を2つ。

こちらも社風も事業自体も素晴らしい会社です。

子連れ出勤の現状(2018年4月末現在) 社員数:64人(パートタイム含む) オフィスにいる子供の数:3〜4人 子供の年齢:1〜2歳 通勤手段:電車・バス・自転車とさまざま 子供エリア:土足禁止エリア中心 出勤する際...
「体験ギフト」を扱うベンチャー企業、ソウ・エクスペリエンス。ビジネスでも新しい分野に挑戦しているが、働き方への要望や希望に、「基本…

最後に「すくすく子育て」でもお馴染みの大日向雅美先生のインタビューの載ったBuzzFeedの記事。

やっぱりすごい人だなと思います、引き続き応援しております。