カネカのパタハラ疑惑への対応を三菱UFJモルガン、アシックスの事例から考えてみる

東証一部上場の化学メーカー、カネカに勤務する男性が育休を取得後「パタハラ」に遭い、結果として退職したという話を、ご本人の妻を名乗る方がTwitterで投稿されていました。

パタハラ疑惑で社名が明らかになるケースは珍しく、私の知る限り三菱UFJモルガン証券、アシックスしか他にありません。

社名が明らかになっていないケースは友人知人から聞いた話もありますし、ニュースやTwitterなどでも悲しいかな溢れかえっていますし、それも氷山の一角だと思います。

ここでは過去に社名が明らかになった2社の対応を元にカネカが取るべき対応を考えてみたいと思います。

パタハラ疑惑ケース1:三菱UFJモルガン・スタンレー証券

ニュースにもなったので目にされたことのある方も多いかと思います。

概要

巨大な組織を相手にパタハラを訴え、たった一人で立ち向かうウッドさん。うつ病を患うまで叩きのめされた心理状態から、一体何を支えに声を上げたのか。今どのような心境なのか。ウッドさんに語ってもらった。

こちらにまとまっていますが、出産前、出産後どちらにおいても「パタハラ」があったようです。

インタビュアーはマタハラの問題に長年取り組んでこられた小酒部さやかさんです。

弁護士の今泉義竜です。江夏弁護士と取り組んでいる、「三菱UFJモルガン証券・パタハラ事件」で会社が解雇予告を強行してきました。ブルームバーグが配信しています。“三菱モルガン、ハラスメントを訴えていた幹部に解雇予告通知” 以下、状況を
弁護士の今泉義竜です。担当事件との関係で目を引く記事がありました。三菱モルガン社長がハラスメント根絶を決意、「体育会的文化」が温床ブルームバーグ日向記者による独占インタビュー記事ですが、その中で荒木社長の発言として以下の記載がありました。4月に就任した荒

こちらは訴訟を担当されている今泉義竜弁護士のブログ。

会社から解雇予告され、実際に解雇されたとのことです。

会社の対応

「パタハラの事実を認めない」というのが対応の基本姿勢です。

結果的に「事実ではないことで会社を訴えるなど損害を与えた」などの理由で解雇しています。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の荒木三郎社長は、ブルームバーグの取材に応じ、同社がハラスメント問題に直面していることを明らかにし、その根絶に向けて取り組む決意を表明した。背景には、同社内の「体育会的文化」が温床となっているとの認識を示した。

荒木三郎社長は「ハラスメント撲滅」に向けた取り組みを強化しているようですが、訴訟での姿勢は「否認」で変更はなさそうです。

現状

東京地裁にて係争中と思われます。

※追記

本裁判を担当されている今泉義竜弁護士から最新の状況を教えていただきました。

パタハラ疑惑ケース2:アシックス

こちらはTwitterで発見したもので、大きくニュースになってはいないのでご存じない方も多いかと思います。

概要

ご本人の主張は、所属されている首都圏青年ユニオンのこちらのチラシに記載されています。

会社の対応

会社側からの「このような対応をしている」という発信は見受けられませんでした。

情報が上述のツイートしかないため、そこに基づくと「育休を取得することに対する嫌味」「育休復帰後に報復人事と思われる異動勧告」「仕事を干すなどの嫌がらせ」などの訴えに対して「事実と異なる」と主張しているようです。

こちらも「パタハラの事実を認めない」が基本姿勢です。

現状

首都圏青年ユニオンという労働組合にて団体交渉が継続中と思われます。

パタハラ疑惑ケース3:カネカ

現在話題になっているものです。

概要

現状「パタハラ被害当事者の妻」を名乗る方のツイートしか情報はありませんので、以下の記載内容はそちらに基づきます。

人事からの勧めもあり4週間の育児休業を取得。

復職後2日目に転勤の内示。

上長、人事に「1,2ヶ月延ばしてもらいたい」旨を相談するもNG回答。

労働局に問い合わせると「紛争状態になったら間に入ることは可能」との回答。

退職を決断したが、有給を「取らせてもらえず」。

退職し専業主夫に。

上述経緯についての当事者妻を名乗る方のツイートが大きく拡散される。

会社の対応

ホームページから「ワークライフバランス」のページを削除。

該当ページには男性の育休取得体験談や「くるみん」取得に関する内容が記載されていた。

該当内容は検索結果のキャッシュなどから確認可能。

「有給も取らせてもらえず、結局昨日で退職、夫は今日から専業主夫になりました。産後4か月で家族4人を支えます」。妻のツイートが反響を呼んでいる。

※BuzzFeedの取材に対して広報から回答あり、一部記載を追記訂正いたします。

回答としては「当社に宛てた書き込みではないのでコメントは差し控える」とのこと。

ホームページのページ削除については、2月のサイトリニューアル時に削除したとのことで、今回の件を受けての対応ではないとのことです。

現状

パタハラ被害当事者は既に退職済で、専業主夫となっている。

会社側は2019年6月3日現在、上述したホームページのページ削除以外は動きなし。

※こちらにも追記。

上述の通り「当社に宛てた書き込みではないのでコメントは差し控える」とのこと。

6月21日に大阪にて株主総会がありますが、仮に質問したとしても同様の回答となるかと。

株式会社カネカ(4118)の株主総会について掲載しています。

※さらに追記

当事者ご夫婦に対するインタビュー記事が日経ビジネスから出ました。

2ページ目からがインタビューです。

夫の育休から復帰後2日で関西への転勤辞令が出たーー。当事者の妻がツイッターでこう発信し、議論が巻き起こっている。「パタニティーハラスメントでは」「見せしめじゃないか」。ネットで様々な意見が飛び出すなか、当事者の夫婦が日経ビジネスの単独取材に応じた。

カネカの今後の対応を予測してみる

数少ない過去事例に基づくと、当事者側から訴訟や労働組合からの団体交渉などのアプローチがあった場合「パタハラの事実はない」という基本方針で対応してくると思われます。

育児介護休業法が改正されて、いわゆるパタハラも違法になったことも影響していると思われます。

パタハラを認める=違法性を認める、ということになるので。

ただ、今回は既に当事者が退職済であり、特に訴えを起こすようなこともなさそうです。

メディアからの取材依頼など問い合わせは既に来ていると思われるので何らか続報があるかもしれませんが「家を購入したばかり」「夫が急遽専業主夫に」「育休から復職したばかりの妻が急遽大黒柱に」という状況のようなので、そのような余裕はないと思われます。
(ホントお察しいたします・・・)

企業側の対応としては、テレビでニュースになるレベルにならない限りは、おそらく「ダンマリ」だと思います。

パタハラ疑惑後に何もしないとどうなるか

1.社内の雰囲気が悪くなる

会社に関するネガティブなニュースが出た時点で士気は下がりますし、社内の雰囲気は悪くなります。

社員は会社のその後の対応を注視しているので「何もしない」という対応にがっかりする人も多くいるでしょう。

2.これを機に離職する人が出てくる

人に優しくない会社であり、そこに対して手を打たないことは十分な離職検討理由になると思います。

3.新規採用しづらくなる

私は前職で採用担当だったので、どうしても採用担当目線で考えてしまうのですが、これは本当にダメージが大きいです。

かつ「会社としてはダンマリでいく」となった場合、会社説明会で質問されたらどう答えるんですかね。

OpenWork(旧Vorkers)のコメントもネガティブなものが増えるでしょう。

そもそも募集がすごく減ることは間違いないと思います。

4.株価が下がる

これはどの程度大きく話題になるかにもよりますが、無視できないレベルで影響があると思いますし、あっていいんじゃないかと思います。

パタハラしている企業がのうのうとダンマリ決め込んでのさばってるのが残念ながら現在の日本なので、しっかり圧力かけて対応を促すことは必要だと思います。

5.売上が下がる

特にBtoC企業の場合はこういったネガティブ事案から不買運動が起きることがあります。

カネカは主にBtoB事業ですが、一部BtoCの商品も取り扱っており、Twitterでは「不買するならこれ」というようなツイートが既に見られます。

6.企業ブランドが毀損される

売上、株価、従業員満足度、採用など全体に対して影響することです。

「くるみん」認定ももしかしたら剥奪される可能性があります。

ちなみに電通は自主返納しています。

カネカの場合、現状想定される最悪のケースはCMキャラクターを務めてらっしゃる知花くららさんがこれを理由にCMを降板し、その旨をブログなどで発表されることだと思います。

折しも第一子を妊娠なさっていることを公表されたばかりですね、おめでとうございます!

知花さん、めちゃめちゃ素敵なのと同じ82年生まれということもありファンです。

カネカの取るべき対応を考えてみる

黙っていてもいいことないので、まずはプレスリリースを出すことが肝要だと思います。

・このような事象が話題となっている事実を把握している
・事実であれば決して許されるべきことではない
・事実関係を早急に調査する
・調査結果次第では該当社員への謝罪や補償を検討する
・調査結果次第では担当者および担当部門の責任を明確にし譴責や減給などの処分を実施する
・社を上げてパタハラのみならずハラスメント全般の撲滅に向けて取り組んでいく
・本件の進捗およびハラスメント撲滅の取り組みは随時社外にも開示していく

このような内容を社長名で出すといいと思います。
社長名でないとあまり意味がないです、覚悟が伝わらないので。

その上で従業員向けにも説明の機会を設けるといいと思います。
これも社長がやらないとあまり意味がないです。

SCSK 相談役 中井戸 信英(なかいど のぶひで)氏 ソウ・エクスペリエンス 社長 西村 琢(にしむら たく)氏 日本企業が長年続けてきた

上記は「社長から従業員家族への手紙」という形で、SCSK社の働き方を変える意志が強く感じられる事例です。

それくらいやってしかるべき「社として従業員に対してどのような姿勢であるか」を問う事案だと思います。

おそらくプレスリリースは「広報が作成して法務チェック」というプロセスを通ると思います。

現在ホームページから削除されている「ワークライフバランス」のページで「男性育休の体験談」を語ってらっしゃったのが法務部の方でした。

立場お辛いかと思います・・・お察しいたします。

「パタハラ」は「ダメ、絶対」

「パタハラしたらダメですよ」の説明は「そんなんダメに決まってるじゃないすか」でいいはずです。

「法律違反だから」とか「株価が下がるから」とか言わないとパタハラがなくならないんだとしたらものすごく悲しいんですよ。

社名を出して記載した各企業の中には、当然ながらこのような事象に心を痛めてらっしゃる方がたくさんいるのだと思います。

「炎上させて叩く」ような手法で各企業や働いてらっしゃる方を貶めるような意図は一切ありません。

とは言え、赤の他人が勝手に書いたものなので、ご不快になる中の方もいらっしゃると思います。

ごめんなさい。

声を上げづらいことでもあり、認知がまだまだ広がっていない「パタハラはダメ」を当たり前にすべく、引き続きできることを模索し実行していきます。

コメント

  1. たま より:

    男性が育休?今頃こんな事が論じられる日本って、どんだけ遅れてるんですかね⁉️戦後お仕着せとはいえ、憲法で男女平等になっているのに、可笑しな国です。やはりこれをきに考えてみましょう、こういう事が起こる根底に何が有るかを。

  2. takahashiwalker より:

    たまさんコメントありがとうございます!
    ご指摘の通り「根底に何があるのか」を解き明かし、具体的かつ実現可能な解決策を本気で考えて実行していく時だと感じてます。

  3. 匿名 より:

    アシックスは時代遅れの会社ですわ ダサすぎる カッコ悪い